「30代で保険を見直すべき?」「保険見直しのポイントを教えてほしい」などと考えていませんか。面倒な作業は行いたくないと考えている方もいるでしょう。最初に結論を示すと、30代は保険見直しを積極的に行いたい年代です。変化するリスク、発生するライフイベントなどにあわせて、保険を見直す必要があります。ここでは、30代が備えたいリスク、30代が保険を見直したいタイミング、保険の選び方、見直し方などを解説しています。保険の見直しを検討している方は参考にしてください。
公益財団法人生命保険文化センターが発表している資料によると、2022年における30代の平均保険料(一時払いや頭金の保険料は除く)は以下のとおりです。
年間払込保険料 | 月間払込保険料 | |
---|---|---|
30代男性 | 199,000円 | 16,583円 |
30代女性 | 140,000円 | 11,667円 |
※月間保険料は年間保険料をもとに算出
調査の対象は、民間の生命保険会社、郵便局、農協、県民共済、生協などが扱っている生命保険、個人年金保険に加入している30代の男女です。
ちなみに、30代の平均保険料は、2019年に行われた前回調査に比べて減っています。詳細は次のとおりです。
年間払込保険料(2022年) | 年間払込保険料(2019年) | 差額 | |
---|---|---|---|
30代男性 | 199,000円 | 235,000円 | 36,000円 |
30代女性 | 140,000円 | 151,000円 | 11,000円 |
出典:公益財団法人生命保険文化センター「2022年(令和4)年度 生活保障に関する調査」
出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
保険見直しのメリットとして、以下の点があげられます。
保険の見直しで、毎月の保険料を抑えられる可能性があります。必要性の低い特約を外したり、無駄のない保険に乗り換えたりできるためです。ただし、毎月の保険料を必ず安くできるわけではありません。家族が増えたなどの理由で、保障を手厚くすると保険料は高くなります。とはいえ、保険の見直しを先延ばしすることはおすすめできません。万が一のときに、必要な保障を受けられないうえ、年齢を重ねると保険料が割高になるためです。民間保険は、リスクに応じた保険料負担を基本とします。加齢にとともに病気や死亡のリスクは高くなります。これらのリスクが小さいうちに、保険の見直しを行っておくことが大切です。
30代で保険見直しを行うと、保険商品の選択肢を豊富に確保できる傾向があります。40代、50代に比べて、健康な方が多いためです。参考に、年代別の受療率を紹介します。
年齢階級 | 入院・男性 | 入院・女性 | 外来・男性 | 外来・女性 |
---|---|---|---|---|
20~24歳 | 123 | 152 | 1783 | 2987 |
25~29歳 | 127 | 241 | 1893 | 3836 |
30~34歳 | 158 | 324 | 2177 | 4281 |
35~39歳 | 192 | 294 | 2360 | 4386 |
40~44歳 | 260 | 256 | 2668 | 4358 |
45~49歳 | 335 | 300 | 3108 | 4739 |
50~54歳 | 489 | 392 | 3510 | 5296 |
55~59歳 | 698 | 528 | 4482 | 5860 |
契約者間の公平性を保つため、保険加入時に健康状態や既往歴の告知を求められます。したがって、病気をすると希望する保険に加入できない恐れがあります(妊活中の方は、妊娠にも注意が必要です。手術などのリスクが高くなるため保険に加入でいないことがあります)。さまざまな選択肢を確保したい方は、健康面に不安がない30代のうちに保険を見直しておきましょう。
保険のおもな目的は、人生のリスクに備えることです。30代が備えたいリスクとして以下の2つがあげられます。
【30代が備えたいリスク】
ここでは、入院・死亡の理由を紹介します。
厚生労働省が発表している資料によると、30代に多い入院の理由は次のとおりです。
入院の理由/推計入院患者数(千人) | 男性・30~34歳 | 男性・35~39歳 |
---|---|---|
精神及び行動の障害 | 1.8 | 2.6 |
神経系の疾患 | 0.8 | 1.1 |
損傷、中毒及びその他の外因の影響 | 0.6 | 0.7 |
消化器系の疾患 | 0.4 | 0.5 |
循環器系の疾患 | 0.2 | 0.4 |
新生物(腫瘍) | 0.2 | 0.4 |
呼吸器系の疾患 | 0.2 | 0.3 |
筋骨格系の疾患 | 0.2 | 0.2 |
入院の理由/推計入院患者数(千人) | 女性・30~34歳 | 女性・35~39歳 |
---|---|---|
妊娠、分娩及び産褥(さんじょく) | 4.9 | 3.6 |
精神及び行動の障害 | 1.7 | 2.5 |
新生物(腫瘍) | 0.6 | 0.8 |
神経系の疾患 | 0.6 | 0.7 |
消化器系の疾患 | 0.4 | 0.5 |
健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 | 0.4 | 0.3 |
腎尿路生殖器系の疾患 | 0.3 | 0.3 |
損傷、中毒及びその他の外因の影響 | 0.2 | 0.3 |
「妊娠、分娩及び産褥(さんじょく)」を除くと「精神及び行動の障害」が30代で最も多い入院の理由です。20代後半に比べて、推計入院患者数が増えている点にも注意が必要といえるでしょう(男性:1.3→1.8,女性:1.5→1.7)。
出典:e-Stat政府統計の総合窓口「令和5年患者調査(推計入院患者数,性・年齢階級(5歳) × 傷病分類 × 病院-一般診療所別)」
30代のおもな死亡理由(死亡率(対10万人)は次のとおりです。
死亡の理由 | 男性・30~34歳 | 男性・35~39歳 |
---|---|---|
自殺 | 28.2 | 28.3 |
悪性新生物(腫瘍) | 6.0 | 11.0 |
心疾患(高血圧性を除く) | 4.9 | 8.9 |
不慮の事故 | 4.9 | 6.4 |
脳血管疾患 | 2.5 | 5.9 |
死亡の理由 | 女性・30~34歳 | 女性・35~39歳 |
---|---|---|
自殺 | 11.2 | 10.5 |
悪性新生物(腫瘍) | 8.7 | 17.3 |
心疾患(高血圧性を除く) | 2.0 | 2.7 |
不慮の事故 | 1.7 | 1.9 |
脳血管疾患 | 1.0 | 2.2 |
30代で最も多い死亡理由は「自殺」です。入院の理由も踏まえると、日々のメンタルケアが重要といえるかもしれません。また、30代後半から「悪性新生物(腫瘍)」で亡くなる方の割合も増加しています。女性は30代以降、人口10万人対の罹患率が100.0を超えるため、特に注意が必要です。
出典:e-Stat政府統計の総合窓口「2023年 人口動態調査 死因(死因簡単分類)別にみた性・年齢(5歳階級)別死亡率(人口10万対)」
出典:がん情報サービス「全国がん罹患データ(2016~2020)」
ここからは、30代におすすめしたい保険の選び方を紹介します。
生命保険は、保険期間で大きく以下の2つにわかれます。
【種類】
定期保険は契約時に定めた保険期間内に保険事故が起きると保険金が支払われるタイプ、終身保険は保険期間に定めがない(生涯にわたり保障を受けられる)タイプです。両者には、次のメリットとデメリットがあります。
保険の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
定期保険 |
|
|
終身保険 |
|
|
両者の特徴を踏まえて、加入する保険を検討することが大切です。子どもが成人するまでの間など、必要保障額が増す期間だけ、終身保険に加えて定期保険に加入することもできます。
特約は、主契約に付加して契約する保障です。特約を利用すると、保障内容をニーズに合わせやすくなります。ただし、追加で保険料がかかります。必要性を見極めて利用することが大切です。参考に、おもな特約を紹介します。
種類 | 概要 |
---|---|
疾病入院特約 | 病気で入院すると給付金が支払われる |
先進医療特約 | 所定の先進医療を受けたときに給付金が支払われる | 通院特約 | 病気やケガで入院してから、退院後に治療で通院すると給付金が支払われる |
三大疾病保障保険特約 | 悪性新生物・脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になると保険金が支払われる |
リビングニーズ特約 | 余命6カ月以内と診断されると保険金が支払われる |
付加できる特約、特約の保障内容は、保険商品で異なります。
30代が保険を見直すときに、意識したいポイントを解説します。
保険を見直す際に、保障内容と保険料のバランスを考えることが大切です。いずれか一方だけに注目すると、もしものときに必要な保障を受けられなかったり、保険料の負担感が重くなったりすることがあります。参考に、遺族補償に必要な金額(=必要保障額)の算出方法を紹介します。
必要保障額=支出見込額-収入見込額
支出見込額と収入見込額は、主に以下の項目で構成されます。
【収入見込額】
【収入見込額】
以上をもとに、必要保障額を算出すると、保障内容、保険料の無駄を削りやすくなります。
定期的な保障内容の見直しも欠かせません。ライフステージの変化などで、必要な保障も変わるためです。たとえば、30代で子どもができると、あらたに教育費や生活費を用意しなければなりません。加入している保険によっては、保障内容の見直しが必要になるでしょう。あるいは、リスクに備えるため、あらたに子ども保険や就業不能保険などへ加入することも考えられます。これらの作業を怠ると、保険に加入していても必要な保障を受けられず、もしものときに困る恐れがあります。トラブルを防ぐため、保険の定期的な見直しが必要です。
不要に思える保険であっても、解約は慎重に検討する必要があります。再加入時に既往歴や健康状態を告知しなければならないためです。解約期間中に病気になると、希望する保険に加入できないことがあります。また、保険料も再加入時の年齢で算出します。したがって、年齢を重ねると保険料は原則として高くなります。20代、30代で保険に加入した方は、解約の必要性を慎重に検討しましょう。
経済的な負担を抑えるため、生命保険料控除を活用することも大切です。生命保険料控除は、以下の保険料を支払ったときに原則として一定の所得控除を受けられる制度です。
【対象になる保険料】
控除額は、新契約(平成24年1月1日以後)と旧契約(平成23年12月31日以前)で異なります。具体的には以下のとおりです。
【新契約】
年間支払保険料など | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料などの全額 | 20,000円超40,000円以下 | 支払保険料など×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料など×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 40,000円 |
【旧契約】
年間支払保険料など | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払保険料などの全額 | 25,000円超50,000円以下 | 支払保険料など×1/2+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | 支払保険料など×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 40,000円 |
生命保険料控除の上限は、合計で120,000円(所得税:120,000円、住民税:70,000円)です。詳しくは、勤務先または税務署などでご確認ください。
30代が、保険を見直したいおもなタイミングを紹介します。
会社員から自営業やフリーランスへ転職すると、加入する公的保険が以下のように変わります。
【加入する公的保険】
【変更点】
傷病手当金は、業務と関係ない病気やケガで会社を休み、事業主から十分な報酬を受けられないときに支給される手当金です。したがって、自営業やフリーランスになると、病気やケガで働けないときに保障を受けられません。転職により公的保険の保障内容が変わる場合は保険の見直しが必要です(自営業、フリーランスなどから会社員へ転職する場合も同様)。具体的には、就業不能保険、死亡保険の見直しなどが考えられます。
出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
何かしらの理由で収入が大きく変化したときも保険を見直したいタイミングです。特に収入が減ったときは、見直しの必要性が高いと考えられます。これまでどおり、保険料を支払うことが難しくなるためです。必要性の低い保障を削ることで、安心を確保しつつ経済的な負担感を抑えられる可能性があります。同様に、年収が増えたときも、保険を見直しておきましょう。余裕資金を使って、老後に備えた資産形成を行えます。
マイホーム購入時も保険を見直したいタイミングです。住宅ローンを組む際に、団体信用生命保険へ加入した方は死亡保険を見直しましょう。住宅ローンの返済期間中に契約者が死亡などすると、保険会社から金融機関に対し住宅ローンの残高と同額の保険金が支払われるためです。死亡保険金に遺された家族の住宅費を組み込んでいる場合は、重複する部分を削れる可能性があります。
ここでは、30代の保険見直しについて解説しました。20代に比べて、30代は健康リスクが高まります。万が一に備えて、必要な保障を備えておくことが大切といえるでしょう。また、30代は転職やマイホーム購入などのライフイベントが発生しやすい年代です。保障に過不足が発生しないように保険を見直す必要があります。30代の保険見直しでお困りの方は、必要な保険を組み合わせて選べる保険のセレクトショップ「ほけん工房」にご相談ください。福岡天神、長崎佐世保の店舗に加え、オンラインでも無料でご相談いただけます。
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